くまプリ

ちくまプリマー新書の感想置き場

1冊目 生きづらさは、どこから来るのか

 No.183

 

 息苦しい・・・。

 そう感じることがたまにある。

 正真正銘、息が苦しくて、呼吸困難というわけではない。精神的に苦しい感覚。もやもやとも違い、もどかしいというか、自分にとって心地よくない状況が続いていると、このような「息苦しい」と感じることがある。閉塞感というものでしょうか。会議などで自分だけ意見が異なっていたり、意見が対立したり・・・。閉塞感はほかの人がいる状況下で感じることが私は多いなぁと感じる。

 その点、一人でいる時間はゆったりできて心地よい。周りを気にすることなく、何も考えずにぼーっとできるから。そう考えると、心地悪さや閉塞感というものは、私の場合は周りの目を気にすることで感じるものなのだと思った。

 周りのことは気にしない。そう意識して、そう思うようにして生活しているつもりではあるけれど、なかなかできていないものなのだなぁとこれを書きながら自省する。

 石川幹人さん著の『生きづらさは、どこから来るのか』はそんな私が感じている『生きづらさ』はどこから出てくる感情?なのかを、進化心理学の観点から読み解く本です。「進化心理学ってなに?」と私も思ったのですが、簡単に言えば人間が生物的に進化してきた過程から、生きづらさについて考察する。ということのようです。これがまた、読んでいくと「えっ、じゃあ自分が生きづらさを感じているのは、進化の狭間にいるからなのか」とか、人間って科学の進化に奢って、自身たち自身は狩猟採集民族の頃のスペックでしかまだ物事を理解し対応できていないのに、環境が激変したことで、このような精神的な辛さなどを感じているのだな・・・。とちょっと情けないなぁと思ったものです。

 裏を返せばしょせん人は動物の仲間で、科学の進歩は目覚ましいし、生活は豊かになってきているし、多くの部分で何千年前と比較すればそりゃ便利だけど、結局はより便利にを追及しているまでで、本当に未知の新しいことの創造を行うにはまだまだ及んでいない。それは、ちょっとスペックアップした原始人とそう変わらないのだなぁ~ってこの本を読んで私は感じました。

 悩むことは悪いことではないし、人間もそんなに賢くない。そう思えたら少しは生きることも楽になるのかもしれないなぁ。そう感じさせてくれた本でした。